泉田宥美治療院 の日記
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他人を思いやる心
2013.09.06
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私が以前、勤めていたお寺での話。
ある日、池に落ちている落ち葉掃除をしようと、大きな網とゴミ袋を持って庭に行った。
すると、学校帰りの高学年の小学生7人くらいが池の周りでゲームをしたり、池の鯉を見て何やら話したりしていた。
「こんにちは!」
私は一瞬、声をかける前に少し不安に思っていた。
(最近の子供って、挨拶しても返してくれるかな?うるせー!とか言うのかな?)
「こんちはっ!」
私の不安を吹き飛ばす、元気のいい気持ちの良い挨拶が返ってきた。
「あ、僕達もなんか手伝います!」
私の持っている網とゴミ袋を見て、1人の子供がそう言った。
他の子供たちも一斉に私の方に寄ってきた。
せっかくなので手伝ってもらうことにした。
そこの庭の池は結構大きかったので、1人でやると1時間くらいかかった。
でも、子供たちのおかげで30分ほどで終わった。
掃除している間、子供たちといろんな話をした。学校、家庭、友達・・・子供たちの生の声を聞くのは新鮮だった。
「よし!おかげで大体終わったわ。みんなにご褒美として、コンビニで1人150円奢ったるわ!」
「やったーー!」「ラッキーー!」
ここで私もやめとけばいいのに、私の遊び心が出てしまった。
「おじさんにジャンケンで勝った子は、もうプラス100円!」
「よっしゃーー!」
子供たちのテンションも上がった。
早速、1人ずつジャンケンをしたんだけど、私が異常な勝負強さを発揮してしまい、6人に勝ってしまった。
結局、プラス100円は1人だけという結果になってしまった。
近くのコンビニに歩いて行き、皆、思い思いのお菓子を選んでいた。
大体、皆、選んだみたいだったので、レジに行こうかと思ったら、1人だけ困ったような顔をしていた。1人だけジャンケンで私に勝った子だった。
「どしたんや?」
「勝った100円をみんなで食べられる物を買おうと思うんだけど、どれにしたらいいかわからなくて・・・。」
私はその子の言葉に驚いたと同時に、あ~苦しい思いをさせたな・・・と申し訳なくおもった。
もし、自分だったら「ラッキー!」と、思って自分の食べるお菓子を選んでいたと思う。
「ええから、ええから!100円ちょっと超えてもええから、みんなで食べるお菓子選び!」
私はその子の肩を叩きながら言った。
今の世の中、自分さえよけりゃ・・・みたいな時代。こんなに友達のことを思いやれる子供の存在。
私は心が洗われるような気持ちになった。